久保田一道
女性受刑者を収容する岩国刑務所(山口県岩国市)が、同性パートナーを内縁関係と認め、親族として受刑者と面会できるように内規を変更したことが分かった。昨年7月、弁護士や医師ら外部の市民でつくる「刑事施設視察委員会」の意見を踏まえ、内縁関係を異性間に限定していた記載を削除し、性別を問わない形に改めたという。
岩国刑務所の担当者は取材に対し「内縁者は、社会復帰に向けた重要なパートナーだ。社会の認識が変わる中、異性しか内縁と認めないのは時代に即していない」と説明した。法務省幹部は、ほかの刑事施設で、同様に内規変更した例について「聞いたことがない。視察委の提言に柔軟に対応した好例だ」と話した。
刑事収容施設法の定めでは、受刑者は「親族」との面会が認められている。親族には「婚姻の届け出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者」も含まれるとし、内縁関係の相手との面会も認めている。
岩国刑務所は従来、内縁関係について、内規で「男女の関係」と限定していた。受刑者が面会を希望する相手を申し出る用紙でも、同様の説明をしていたという。
こうした対応について、同性パートナーがいる受刑者から見直しの要望を受けた視察委が昨年度、「可能な限り実情に即した対応を行い、性的少数者の権利が不当に制約されることがないよう配慮されたい」と改善を求めていた。
刑事施設の人権問題などに取り組むNPO法人「監獄人権センター」の塩田祐子さんは「同性間でも内縁関係と認めるよう、内規まで変える事例は聞いたことがない。性的少数者を尊重するという時代の流れを反映した対応だ」と評価した。(久保田一道)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル